ピット作業について
F1の楽しみ方の醍醐味でもある、ピット作業は、場合によっては一つの芸術に例えられることもあるくらい重要な要素を占めています。
ピット作業に要求されるものは、大きく分けて「早さ」と「正確さ」になります。レース中に行なう行為なので、どちらも絶対に外せない条件です。
1994年に給油が復活してからは、ピットではタイヤ交換と給油が主な作業となっていました。が、2005年からはタイヤ交換が禁止となってしまいました。
2004年までのタイヤ交換があった場合についてですが、一つのタイヤにつき、3人で作業を行なっていました。一人はタイヤを外す人、一人はタイヤ(ホイール)を止めているナットを外す人、一人は新しいタイヤをはめる人ということになります。マシンにタイヤは4本ついていますから、タイヤだけでも12人が同時に作業をすることになります。
それから、タイヤを交換するには、車体をジャッキアップしなければなりませんから、ジャッキアップする人が前後に一人ずつ付きます。よって、14人が必要だったんですね。今ではパンク等の明確な理由がない限りタイヤ交換はできませんから、マシンがピットに入ってきても、タイヤのエアーチェックと破損がないかチェックするだけになってしまいました。
給油は、ほとんどのチームが2人体制で行なっています。一人はホースの先端をマシンに差し込む人で、もう一人はその後ろでホースを支える人です。
ホースは、ものすごい重量なので、2人体制でないととても給油をスムーズに行なうことはできません。
それからピット作業に欠かせない人がいます。「ロリポップ」と呼ばれる人で、細長い棒の先端に、看板のようなものをつけたものを持って作業をします。
(写真の人)

まずマシンがピットに入ってくるときに、ピットに止まったら、その看板のような部分をドライバーに分かるように差し出します。そこにはチームによって異なりますが、「STOP」とか「BRAKE」とか書かれていたりします。
最初は「STOP」と書かれた方を見せておいて、ピット作業が終わりそうだなと判断したときに、棒をくるりと回して反対側に書かれた部分を見せるチームもあります。
反対側には「GEAR 1st」と書かれていたりして、すぐにピットからスタートできる状態にするように、ドライバーに伝える為に行ないます。ピット作業が終わったら、このロリポップの棒をサッと上に持ち上げます。
ドライバーはこの合図をもとに、「作業が終わったな」と判断し、アクセルを踏んでスタートします。
ドライバーは作業が終わったかどうかは小さなミラーだけでは後方の状態も分からないので、このロリポップの判断がないと動けません。
ロリポップは、他の車がピットレーンを走っていて、自分のチームのすぐそばに来ていた場合は、ピット作業が終わっていても発信の合図を出さない様にしなくてはならない、という役目もあります。
ピットレーンを他の走っていて、自分のチームの車を発進させたら、事故につながってしまうかもしれません。ロリポップは重要な役目になります。
ただ、ピットレーンを走っている車が自分のチームの近くに近づいてきていても、自分のチームのピット作業が終わって、無理なく前に出れると判断できれば、発進させてしまいます。この「発進させるか、待たせるか」の判断は微妙で相当難しい場合もあります。しばしばペナルティの対象になったり、騒動のネタになったりします。
それから、通常のピット作業に加えて、例えばフロントウィングを破損して入ってきて、通常の作業に加えてウィングを交換することもあります。その時は2人〜3人が余計に作業に加わることになります。
さらにはサイドポンツーンの入り口にあるラジエター用の空気取り入れ口にごみが詰まった場合、それを手でかき分けて出すという作業を行なう場合もあります。
これら一連の作業を、早くて5秒から6秒、長くても10秒くらいですべての作業を行なってしまうのですから、すごいですね。
これらはチームによって質が違ってきて、やはりトップチームは早く、下位チームは遅いという傾向があります。
そこのチームも相当な訓練もしていますけどね。
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